青月15日、月夜に

 

 

 

 

父さん、妖気を感じます！

……じゃなかった、これは異界からの電波だ。

 

見たことのない言語だな。

おまけにノイズだらけで何がなにやらさっぱりわからない。
でも、映像は無事のようだ。これは道路かな。

道路に文字のようなものが書かれている。

 

「 とび出＿＿ 」

 

なんだろう、これは。とび出？

やはり見たことのない言語だ。

異界語学で習うようなものではない。

それなのに、おかしいな、

僕はこれをどこかで見たような気がする。

 

受信したもののうち、言語情報は「?」のノイズだらけだ。

何者かが干渉して、電波の流れを阻害しているのか。

だとすると、映像の方にも何者かの干渉がなされていると考えるべきか。

一部に損傷があるとすれば、何かを足せばもとの映像を復元できるかな。

 

……。

 

……。

 

……（ウホッ）。

 

……。

 

……（ほじほじ）。

 

……。

 

……これは！！！

 

いや、待て待て、そんなバカな。

や、しかし、ど…いやいやいや！　でも、や、

た、たたた大変だァァーーッ！！！！

 

確か最近、資料がごっそり消えた棚があった。

この言葉、見覚えがあると思ったら、その棚の本だ。

何者かの圧力で、情報が隠蔽されているのじゃないか。

僕らの知らないところで、何か大きな力が動いている？

僕は、どうすればいい？　誰かに相談できるか？

 

相談するとしたら、まずKoya君。

だがその後はどうする。他には、誰だ。

 

なんとかできるかもしれない優秀な人は、何人かいる。

 

そうだな、例えばカザワヴァさん。

彼はもう、できないことはないという感じがする。

カザワヴァさんなら、隠蔽されるような情報も知っていそうだ。

彼に相談して、力を貸してもらえれば、とても心強い。

カザワヴァさんと仲のいいエアキス（通称あっき）さんも、相当の実力者だ。

おまけにとても人当たりがいい。学校一の人格者と言ってもいいくらいだろう。

相談すれば、真剣に受け止めて共に対策を講じてくれそうだが……。

あるいは、あすらさんもカリスマ的な力を持っているだろう。

導師過程2年にして学校一の秀才、もしくは天才かもしれない。

回復魔法に代表される白魔法は、神聖な力を扱うこともあろう。

巨大な組織相手に十分対抗し得る。

 

でも、だからこそ危ないんだ。

相談した相手がまさにその組織のボスだったら？

これだけのカリスマだ。十分ありえるのじゃないか。

そうでなくても既に組織に取り込まれ、

組織の一員となっている可能性だって、

ないとは言い切れないじゃないか。

ああ、どうしよう。

僕は、どうすればいい。

 

解読した電波はこう読めるのだ。

「 どび☆すた出現 」と。

 

　ユウク