オジノー健康法

 

・序文

オジノーハイ! オジノーハイ!
諸君、私は偉大なる魔導師オジノーである。
ときに諸君らは今、健康だろうか。私はすこぶる健康だ。
おっと、誤解しないでほしい。私は何も諸君らに
私のマッスルハッスルウッハウハな健康ボデー及び健康マインドを
自慢しようというつもりではないのだ。むしろ逆だと言ってもいい。
この書では、諸君らも私のような健康ボデー及び健康マインドを
手に入れることができる、奇跡の健康法を伝授しようと思う。
大丈夫、何も難しいことはない。私の提唱するオジノー健康法に従えば、
誰もがアッー!!という間に究極の健康体となることができるのだ。

・奇跡の呪文

オジノーハイ! オジノーハイ!
さて、私のこの勇ましくも美しい呪文こそが、
オジノー健康法の要である。
なんと、一日三回朝昼晩にこの呪文を唱えるだけでいいのだ。
この際、「オジノー」の部分は中程度の音程から順に下行するように発音し、
「ハイ!」の部分で急に裏声になるところがポイントだ。先日も(中略)
……ハァハァ……シャンプーの香り……ハァハァ(中略)

以上が、私の提唱するオジノー健康法である。

・オジノーの定理

オジノーハイ! オジノーハイ!
疑り深い諸君らのために、原理を説明しておこう。
我々は食物や大気中から魔力を取り込んで消化し、
魔力をエネルギーとして(中略)……ハァハァ
……妙齢の女性にムチでしばかれたい……ハァハァ(中略)

つまり、オジノーハイ!と唱えることにより、属性的にバラバラだった

魔力のベクトルを合成し、より効率的にエネルギーを使用することが
可能となる。これをオジノーの定理と名付ける。

・あとがき

いかがだろうか。オジノー健康法に従えば、
つらい朝もハァハァ(以下、延々とオジノーが

ハァハァしている様子が記載されている……)

 

 オジノー

 


 


【ユウクメモ】

 

 


……学術書の棚に置いてあったが、
どうやらこれはトンデモ本の類のようだ。
こんなの本気でやる人は、普通はいないよなぁ。

あ、一人だけ借りた人がいるみたいだ。
貸出記録のところに日付印が押してある。
ふんふん、自分の魔力を流して印字するタイプのものか。
この手の印は魔力の癖が出るから、よく見ると
誰が押したかわかることがあるんだよな。
コーヤ君の印なんかは、ちょっと信じられないくらい
荒くれているから分かりやすいのだ。
きっとぶっぽるで押しているのだろう。

ふむ、かなりきれいな印字だ。魔力量の調節が上手い人だな。
この丁寧さは何となく、技師過程の人のような気がする。
それからこれ、逆さまに押してあるので、そそっかしいか、
抜けたところのある感じの人っぽいなァ。
案外僕も知っている人だったりしてな、はっはっは。

……。

……。

……。(キョロキョロ)

……。

……オジノーハイ! オジノーハイ!

……。(うわぁあああちくしょう、やっちまったよ!)